浅井咲乃 Profile

ヴァイオリンとの出会いと人生初「ツィゴイネルワイゼン」

1980年7月28日、滋賀県近江八幡生まれ、4歳で大阪府枚方市へ。その頃からピアノを始め、先に習っていた姉と二人で練習するようになったが、練習用のピアノの取り合いで姉のじゃまをするようになったため、先生に違う楽器を勧められ、母の配慮もあって、5歳より池田真紀子先生のもとでヴァイオリンを始める。小学6年生の時、父が私の演奏で「いつか聴きたいな」と言っていた、サラサーテの「ツィゴイネルワイゼン」を発表会で演奏。私にとって、初めて自ら努力しチャレンジした忘れられない曲となる。

中学生の頃、五嶋みどりさんのカーネギーホールでのリサイタルをテレビで見て感激、すっかり音楽に魅了される。当時、大阪府内の高校に初めて音楽科ができたという話を聞きヴァイオリニストとしての進路におおいに興味を持つ。

1996年大阪府立夕陽丘高校音楽科に入学し、近藤昌子先生、高橋満保子先生に師事。高2の夏、人生初のコンクールに向けて頑張るも、参加申込みを忘れる(涙)。その後、自分なりのペースで青春を送りつつヴァイオリンに打ち込み、高校を卒業。

多感な学生時代、チャイコフスキー「悲愴」に感動!

1999年、京都市立芸術大学音楽学部に入学、梅原ひまり先生に師事。初めてオーケストラの一員として参加した大学の定期演奏会で、チャイコフスキーの交響曲「悲愴」を演奏。音楽という芸術の素晴らしさに心底感動し、忘れられない体験となる。

「『悲愴』の客演指揮者はトーマス・ザンデルリンクさん。終楽章で音がどんどん減っていき、最後にコントラバスだけが残り、その音も消えていき、静寂の中でザンデルリンクさんがスコアをそっと閉じられたその瞬間に、感動で涙がこぼれそうになりました。映画のワンシーンのように、今もはっきり覚えています。指揮者が客席に振り向くまで、お客さん誰一人拍手も出来ません。感動による静寂。その静寂によって生まれるさらなる感動。そんな瞬間でした。」(浅井咲乃談)

その後も在学中、日々様々に感動的な刺激をうけつつ、ヴァイオリニストとして生きることを決意。2001年、大学2年のとき、第6回神戸国際学生音楽コンクールに出場、クライスラーの無伴奏作品「レチタティーヴォとスケルツォ」で優秀賞を受賞。2004年、在学中に結成した京都室内オーケストラで青山音楽財団「バロックザール賞」受賞。

延原さんとの出会い、テレマン入団へ~そして今

卒業後フリーのヴァイオリニストとして活動するなかで、様々なご縁をいただき、フラメンコやボサノヴァ、カントリーなど多彩なジャンルのミュージシャンの方々と出会う。そんな中、大学の先輩の紹介でエキストラ出演していた「テレマン室内オーケストラ」に、延原武春さんのお誘いで参加。2008年、ヴィヴァルディ「四季」でデビュー。2009年入団。

2011年、大阪市浪速区の公認マスコット「なにわのヴァイオリニスト」就任。翌年、文化観光大使「728(なにわ)大使」(誕生日も728!)に昇格。さいわい各紙誌で好評価をいただいたソロ演奏、ヴィヴァルディ「ムガール大帝」と「四季」全曲を収めた1stアルバムを2012年に発売。近年は、クライスラーをはじめ、多数のロマン派、近代音楽にもレパートリーを拡張中で、2015年、2ndアルバム『よろこびとかなしみ』を発売。同年「浪速区文化親善大使」に就任。2019年「平成30年度咲くやこの花賞」受賞。

「テレマン入団当初は慣れないバロック音楽に戸惑いもありましたが、延原さんに日々ご指導いただき、楽団の仲間たちと切磋琢磨しながら、観客の皆さんに音楽の楽しさ、美しさを伝えるべく日々頑張って、早10年!楽団のソロ・コンサートマスターとして、毎回演奏会ではプレッシャーと戦いつつ奮闘中です。」(浅井咲乃談)